今回はタイトルそのままズバリ、エーザイの新規認知症治療薬「レケンビ」に関する話題です。
ついに薬価収載が決まりましたが、薬価など個人的に気になった点をまとめてみました。
使い分けが難しい。。。 - 薬事とか労務とか、たまに■も。。。
レケンビは2規格ありますが、その薬価は
200mg2mL:45,777円
500mg5mL:114,443円
ということです。
年間の薬剤費として約298万円という数字が出ていますが、レケンビの用法及び用量は『通常、レカネマブ(遺伝子組換え)として10mg/kgを、2週間に1回、約1時間かけて点滴静注する。』ですから、体重50kgの方に投与する(1回投与量が500mg)と次のように計算できます。
114,443円 ✖️(365日/14日)
🟰 2,983,692.5円(約298万円)
ひと月あたりにすると約24.8万円で、保険適用されると3割負担ですから、自己負担額としてはおおよそ74,600円となります。
※体重100kgの方だと単純に2倍になりますね(^_^;)
投与期間は原則18ヶ月までとされていますので、総額では約447万円(3割負担では約134万円)かかる計算です。
保険適用されるとはいえ、約134万円と結構な金額となりますが、高額療養費制度の対象となるのでしょうか?
少し考えてみたいと思います。
高額療養費制度とは
この一定額を自己負担限度額(単に上限額とも)といいますが、標準報酬月額(被保険者の月収を基に階級分けされた金額・保険料や給付の額のベースとなります)によって自己負担限度額も変わります。
それを示したものがこちらです。
※『高額療養費制度を利用される皆さまへ-平成30年8月以降-』より抜粋(厚生労働省)
【参考】高額療養費としていくら支給されるのか、こちらのサイトで簡易的に試算できます。
おそらくレケンビの投与となる方の大多数が、自己負担限度額:57,600円に該当するものと思われます。
レケンビの薬剤費だけで3割負担の自己負担額として74,600円必要なわけですから、診察・検査費用(投与開始前にアミロイドPET等・投与開始後も定期的にMRIが必要です。)も考えるとレケンビを投与される方はほとんどが高額療養費の支給対象となると考えられます。
ここで、実際の支払い金額を概算してみたいと思いますが、高額療養費には多数回該当という制度もあります。
過去12ヶ月のうち3回以上高額療養費の支給を受けていた場合、4回目以降からはさらに限度額の引き下げが行われるというものです。
自己負担限度額が57,600円の方だと、4回目以降は自己負担限度額が44,400円になるということです。
※『高額療養費制度を利用される皆さまへ-平成30年8月以降-』より抜粋(厚生労働省)
自己負担額はどうなるのか?
レケンビの投与期間全てが高額療養費の支給対象となったと仮定して実際の自己負担額がどうなるのか計算してみたいと思います。
レケンビの投与期間は最大で18ヶ月で、4ヶ月目以降は多数回該当
※60代の方で標準報酬月額26万円以下、同居人の医療費は考慮せず。
57,600円✖️3ヶ月➕44,400円✖️15ヶ月
🟰 838,800円(約84万円)
薬剤費のみでも約447万円ですが診察・検査なども含めて、自己負担額約84万円で済んでしまう計算になります。
思うこと
もともと高額療養費制度は、全ての人が医療にアクセスし易くなることを企図して整備されたものですが、こういった医薬品にまで適用されてしまうのは、個人的に少し疑問を感じてしまいます。
自己負担額以外は健康保険料や税金から賄われることになりますし、認知症の悪化を27%抑制することがそれに見合う介護費用の削減・経済的効果があるのか?、これからが本当の正念場かもしれません。
社会保障の費用… - 薬事とか労務とか、たまに■も。。。
この薬が日本の抱える社会問題の救世主となるのか、今後の推移を見守っていきたいと思います。
☆ランキング参加しています☆