社会保障の費用…

突然ですが、問題です。

社会保障」に関する費用で最も金額が大きいものは何でしょう??
 
正解は、、、
 
年金です。
 
社労士国家試験の受験生の皆さんはもちろんご存知ですよね。
薬剤師の皆さんはいかがでしょうか?


社会保障」制度は医療や年金、介護、生活保護などのセーフティネットを指しますが、つい先日2021年度の社会保障給付費の概況が公表されました。
簡単に概要をお示ししたいと思います。
 
  1. 2021年度の社会保障給付費(ILO基準)
  2.  
    • 社会保障給付費の総額:138兆7,433億円(1950年度の集計開始以降の最高額を更新)。前年度と比べ6兆5,283億円、4.9%の増加。
    • 1人当たりの社会保障給付費:110万5,500円。前年度と比べ5万7,400円、5.5%の増加。
    • 部門別社会保障給付費の項目:「医療」47兆4,205億円、「年金」55兆8,151 億円、「福祉その他」35兆5,076 億円。
    • 前年度からの増加額:「医療」4兆7,013 億円(11.0%増)、「年金」1,816億円(0.3%増)、「福祉その他」1兆6,455億円(4.9%増)
     
    ▶令和3(2021)年度 社会保障費用統計の集計結果(令和5年8月4日 国立社会保障・人口問題研究所)

 

コロナ禍にあったとはいえ、「医療」が47兆と、「年金」の55兆にかなり迫ってきています。

近年、高額の医療用医薬品が増えてきているので、このままの伸び率で進捗すると、「医療」が「年金」を超えるのもそう遠くないと感じました。
最近では米国で承認されたエーザイの新規認知症治療薬「レケンビ」が話題になっていますが、治療費として年間2万6500ドル(約370万円・1ドル142円換算)もかかる!そうです。
※「レケンビ」は2023年8月21日の薬食審・医薬品第一部会で審議される予定です。この審議で了承となれば9月にも承認がおりるのではないかとされています。
 
日本では「高額療養費制度」の対象になると思われますが、医療財政への影響はかなり大きいように思います。
日本のメーカーからこういった革新的な新規医薬品が導出されるのは大変喜ばしいことですが、どうにかならないものかと個人的には思ってしまいます(^-^; 

さて、そんな「社会保障」に関する費用ですが、社労士国家試験でも問われたことがあります。
少し問題を覗いてみましょう。
 
  1. 第52回社会保険労務士国家試験(令和3年8月実施)
    社会保険に関する一般常識(一部抜粋) 
     
    1「平成29年度社会保障費用統計(国立社会保障・人口問題研究所)」によると、平成29年度の社会保障給付費(ILO基準)の総額は約【 A 】円である。部門別にみると、額が最も大きいのは【 B 】であり、総額に占める割合は45.6 %となっている。
     
    選択肢(一部抜粋)
    ⑬100兆 ⑭120兆 ⑮140兆 ⑯160兆
    ⑰医 療 ⑱介護対策 ⑲年 金 ⑳福祉その他 

 

 
出題当時の正解としては、「A:⑭120兆」、「B:⑲年 金」でした。
最新の情報では社会保障給付費(ILO基準)の総額は「⑮140兆」が正解になりそうですが、
「1位:年金、2位:医療」の順位は当面変わりなしというとことでよさそうですね。

 
なお、社会保障に関する費用の算出方法はいくつかありますが、社労士国家試験でも出題された「ILO基準」も合わせてご紹介したいと思います。
※国によって制度が異なるので、比較しやすいように基準を設けているということです。
 
  1. 【参考:ILO基準について】
    ILO(国際労働機関)が国際比較上定めた社会保障の基準で、以下の3基準を満たす全ての制度における給付費を、「社会保障給付費」としている。
    1. 制度の目的が、次のリスクやニーズのいずれかに対する給付を提供するものであること。(1)高齢 (2)遺族 (3)障害 (4)労働災害 (5)保健医療 (6)家族 (7)失業 (8)住宅 (9)生活保護その他
    2. 制度が法令によって定められ、それによって公的、準公的、もしくは独立の機関に特定の権利が付与されるか、あるいは責任が課されるものであること。
    3. 制度が法令によって定められた公的、準公的、もしくは独立の機関によって管理されていること。
     
    ILO社会保障費用調査」における「社会保障給付費」の定義(厚生労働省

 

 
今回は社会保障に関する費用についてのお話でした。
 
社会保障という制度は、いざというときは大変ありがたい存在です。
ですが、社会保障費がこのままなし崩し的に増え続ける一方であれば、増税社会保険料の費用負担増と私たちの日常生活にも大きな影響を及ぼすことにもなります。
 
世界水準でみれば、まだまだ費用の額は多くないといわれていますが、費用負担と給付のバランス、今一度しっかりと見直してほしいものですね☆

 

 

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