2023年4月1日から・・・

4月1日から「新年度が始まります。
4月1日といえば、エイプリル・フールですが、4月1日生まれの方はなぜか前年度生まれになってしまう不思議な日でしたね。
いつから○○歳⁇ - 薬事とか労務とか、たまに■も。。。
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4月1日生まれの方は、早生まれですね。 法律的にはいつから年齢がカウントされるのか、解説しています。
https://phsr-89266.hatenablog.com/entry/2023/01/12/005805
 
新生活をスタートされる方も多くおられると思いますが、年度替わりに制度なども色々変わります。
 
私の守備範囲(漏れがあるかもしれませんがご容赦ください)で、2023年4月1日から変わるものを簡単にまとめてみました。
 
普段の生活に少なからず影響する内容もあるかと思いますので、宜しければご参考とください。
 
 

薬事・医療系

 

薬価改定

2023年4月1日から医療用医薬品の公定価格「薬価」が改定されます。

 

薬価改定は「原則2年に1度」でしたが、2021年4月1日より原則の薬価改定の中間年での改定が始まりました。
 
年々増加する医療費抑制のため毎年改定となりましたが、製薬メーカー等の収益減となり、研究費用が捻出できない→新薬の創出↓/国際競争力↓・不採算品目が増える→販売中止↑といった負のスパイラルを生み出すことが懸念されています。
2023年4月1日の薬価改定では、9,817品目の薬価が下げられることになりました。
一方で薬価が上がった品目は1,221品目でしたが、薬価全体としてはマイナスの改定となりました。
 
<令和5年度薬価改定について>
令和4年薬価調査に基づいて、以下のとおり実施する。
改定の対象範囲については、国民負担軽減の観点から、平均乖離率7.0%の0.625倍(乖離率4.375%)を超える品目を対象とする。
薬剤費は▲3,100億円(国費▲722億円)の削減とする。
 
中央社会保険医療協議会 総会(第534回)議事第
 
4月1日以降、病院等で薬をもらうとそれ以前より安く済む場合が増えると思います。
カロナールや葛根湯など、コロナ禍で需要が高かった医薬品は薬価が上がっていました。
 
「平均剥離率」という用語が出てきますが、医療機関や薬局への納入価格(実勢価格)と薬価がどの程度乖離しているのかを図る指標となります。
薬価は医療機関や薬局が保険請求する際の価格(要は売上金額)で、卸業者等からの仕入れ価格が納入価格です。
薬価と納入価格の差は薬価差益として医療機関や薬局の収入になるのですが、薬価差益が大きすぎる品目は薬価が下げの対象になるということです。 

オンライン資格確認の導入義務化

医療機関・薬局等で2023年4月1日までにマイナンバーカード保険証を認証するシステムの導入を義務付けていましたが、導入が間に合わない医療機関や薬局も多いことから、2023年9月末までの経過措置とされました。
 
2023年3月19日時点での運用開始施設数は、132,111施設(義務化対象施設に対する割合:61.8%とのことです。
 
オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)
 
なお、2月末まで(3月1日までに延長)にマイナンバーカードを申請し、マイナンバーカードに保険証を紐づけると7,500のマイナポイントが付与されます。
ポイント申請期限は2023年9月末までに延長されました。
お済みですか?マイナンバー💳 - 薬事とか労務とか、たまに■も。。。
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マイナンバーカードをオンライン申請してみました。
https://phsr-89266.hatenablog.com/entry/2023/02/28/234951
 

雇用保険料率の引き上げ

雇用保険料は労使(労働者と使用者)が支払うこととされていますが、その雇用保険料の料率が2023年4月から0.2%引き上げて1.55%となります。

労働者の負担:0.5%→0.6%

(失業等給付・育児休業給付部分のみ

使用者(事業主)の負担:0.85%→0.95%

(失業等給付・育児休業給付部分+二事業率)

通常、雇用保険料率は年度毎に改定されますが、令和4年10月1日に年度途中での引き上げが行われ、それに引き続いての料率引き上げです。
新型コロナウイルス禍に伴い雇用調整助成金の利用が増え、雇用保険財政を圧迫していることが主な要因です。
また、育児休業給付の財源確保も目的としています。
 
4月1日からの料率引き上げで、月給が40万円(いわゆる額面・実費弁済分は賃金に含めません)であった場合、保険料は月2,000円から2,400円に増えることとなります。
 
令和5年度雇用保険料率のご案内(厚生労働省

性労働者の育休取得率等の公表

育児・介護休業法育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)の改正により、2023年4月から従業員数が1,000人を超える企業に男性労働者の育休取得率等の公表が義務付けられることになりました。
昨年の2022年10月からも、産後パパ育休(出生時育児休業)の取得や、育児休業の分割取得ができるようになり、より男性が育休を取得しやすい環境の整備が進められています。
 
性労働者の育休取得率等の公表について(厚生労働省
 
私の職場でも育休を取得された男性もおられますが、その期間は「1週間」でした。
 
☝️これは、取得した内に入るのかな?こんな会社も多いと思います。
今回の改正で状況が変わるといいですね(^_-)

中小企業での時間外労働の割増賃金率の引き上げ

月60時間を超える時間外労働の割増賃金について、中小企業は60時間以下の割増率と同率の25%以上とされてきましたが、猶予期間が終了し、2023年4月1日より法原則の50%以上となります。

<原則の割増率>

60時間以下:25%以上

60時間超:50%以上(中小企業もこの率に引き上げられる)

休日:35%以上

深夜(22:00~5:00):25%以上

60時間超+深夜:75%(50% + 25%)以上

休日+深夜:60%(35% + 25%)以上

※休日+深夜に関しては、22時~24時までの2時間が対象。
0時~5時は翌日(法定休日ではない)になるため休日の割増賃金は発生しない。
労働基準法 第三十七条
(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
→「60時間を超えた」なので60時間1分目(労働時間は原則「1分単位」で計算します。)から50%以上の割増率で割増賃金を支払う必要があります。
 
なお法定の割増率より低い割増率で残業代を支払った場合、割増賃金の未払いに相当し、罰則等が科されることになります。

給与のデジタル払い開始

労働基準法施行規則が改正され、2023年4月1日より、賃金のデジタル払い(賃金を○○Payなどへ送金する)ことが可能になります。
 
仮想通貨での支払いやポイント等での支払いには対応していません。
 
資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について(厚生労働省
 
なお、利用できる資金移動業者は厚生労働大臣の指定を受けたものとされています。
この指定を受けた資金移動業者は、厚生労働省のサイトに随時公開されるとのことです。
 
2023年4月1日改正 労働基準法施行規則 第7条の3
前条第一項第三号の厚生労働大臣の指定(第七条の六から第七条の八までにおいて単に「指定」という。)を受けようとする者は、申請書に、第二種資金移動業を営むこと及び同号イからチまでに掲げる要件を満たすことを証する書類を添えて、厚生労働大臣に提出しなければならない。

就職氷河期世代採用の特例期限延長

労働者の募集・採用に関して、年齢制限を設けることは原則として禁止されています。
ですが、いわゆる「就職氷河期世代」の方を募集・採用する場合に限り、年齢制限を設けることが特例として認められています。
※「就職氷河期世代」に関しては、第53回社労士国家試験にも出題されていました。
 
この特例期限は令和5年3月末までとされていましたが、令和7年3月末まで延長されることになりました。
 
就職氷河期世代特例」の対象となる方
令和5年3月まで:35歳以上55歳未満
令和5年4月以降:昭和43年4月2日から昭和63年4月1日までの間に生まれた方
 
募集・採用における年齢制限禁止について(厚生労働省

介護保険料の料率引き上げ(協会けんぽ

大多数の労働者の方が加入している協会けんぽ(全国健康保険組合)の介護保険料の料率が引き上げとなります。
 
 令和4年度:1.64%
 令和5年度:1.82%
健康保険組合・共済組合等管掌の健康保険の方は、各保険者にお問合せください。
 
なお、介護保険40歳以上の方が対象となります。
 
介護保険料は健康保険料と同じく標準報酬月額(賞与の場合は、標準賞与額)に保険料率を乗じた額を労使折半という形になります。
 40歳未満:健康保険料のみ
 40歳以上65歳未満:健康保険料+介護保険
※65歳以上は、市町村に支払うことになります。

出産育児一時金の増額

2023年4月1日以降に出産した場合、健康保険より支給される「出産育児一時金」の額が増額されることになりました。
 
2023年3月31日以前:42万円(40.8万円)
2023年4月1日以降:50万円(48.8万円)
※括弧内は、産科医療保障制度未加入の病院で出産した場合。
 
健康保険法施行令等の一部を改正する政令の公布について
 
支給額が8万円も増額になるということですが、病院側も出産費用を増額するという話も聞きます。
こうなると、病院側の収入が増えるだけで「子育て」にはあまりプラスにならない気がしますね😅
 
なお、出産・育児関係の給付は、いくつかありますが、
出産育児一時金」、産前・産後休業中の「出産手当金」は、健康保険
育休中の「育児休業給付金」、新設された「出生時育児休業給付金」は、雇用保険
からの給付になります。

年金額の改定

年金額は、毎年「マクロ経済スライド」という考え方(簡単にいうと、平均給与額や物価に応じて調整するということです。)によって改定されます。
令和5年度は、67歳以下の方(昭和31年4月2日以後生まれ)は令和4年度から原則2.2%の引き上げ、68歳以上の方(昭和31年4月1日以前生まれ)は令和4年度から原則1.9%の引き上げ、ということでプラス改定となりました。
インフレや賃上げの影響もあると思います。
 
令和5年4月分からの年金額等について(日本年金機構
 
まだまだ年金をもらう年ではありませんが、もらえる頃には、どれぐらいの額になっていることやら。。。(>人<;)
 
なお、国民年金は原則の額が一律で決まっているので、毎年「改定率」を乗じて額を上げ下げしています。
厚生年金は、現役時代の給与額によって支給額が異なります。こちらは、現役時代の給与額を合算した平均値(平均標準報酬額)に毎年「再評価率」を乗じて額を上げ下げしています。
 
 
やはり新年度ということで変わることが多く、なかなかついていくのも大変ですね😅
 
上記以外にも、自転車でヘルメット着用の努力義務化というのがあります。
 
皆さんはどうされますか??
 
努力義務(文字通り努力しなさいという意味)なので、🚲🪖どうしようか悩む今日この頃でした( ˘•ω•˘ ) ナヤムナー

 

 

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