『"調剤薬局"は医療機関??』でも少し触れましたが、今回はズバリ「地域包括ケアシステム」についてです。
"調剤薬局"は医療機関?? - 薬事とか労務とか、たまに■も。。。
調剤薬局の「業種」についての記事です。 日本標準産業分類についても触れています。
https://phsr-89266.hatenablog.com/entry/2023/07/01/102743
あまり聞き慣れないシステムかも知れませんが、いわゆる団塊の世代が75歳以上(後期高齢者)になる2025年問題への対策の一つとして整備が進められてきた経緯があります。
筆者は就職氷河期世代に該当しますので、まだまだお世話になるのは先になりそうですが、高齢者が住み慣れた地域(中学校区程度の範囲とされています)で医療・介護・生活支援などを受けられる仕組み・体制が地域包括ケアシステムと呼ばれるものになります。
補足
- 【団塊の世代】昭和22(1947)~24(1949)年に生まれた方を指します。
- 【後期高齢者】75歳以上の方を指します。医療費の自己負担額が1割(令和4年10月1日から一定の所得がある方は2割となりました)であるため、この年齢以上の方の割合が増えることで医療保険財政がより圧迫されることが懸念されています。
- 【就職氷河期世代】1990年代〜2000年代の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代を指します。
地域包括ケアシステムに関係する法律としては、介護保険法がありますが、介護保険法の中には次の定めがあります。
介護保険法 第5条
第3項 国及び地方公共団体は、被保険者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービスに関する施策、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止のための施策並びに地域における自立した日常生活の支援のための施策を、医療及び居住に関する施策との有機的な連携を図りつつ包括的に推進するよう努めなければならない。
介護保険は、保険者(実施主体)が市町村及び特別区とされているのが特徴で、国が体制確保や施策などの各般の措置を講じることとされています。
また薬局に関しては、かかりつけ薬剤師制度、健康サポート薬局制度、機能別認定制度(地域連携薬局、専門医療機関連携薬局)などが導入され、薬局の定義自体も変更されるなど、地域包括ケアシステムを意識した法改正が進められています。
より患者に近い立ち位置で、医療と介護の橋渡し的な役割(医療保険制度と介護保険制度は別の制度です)を担うことを期待されているように感じます。
▶︎地域包括ケアシステムにおいてかかりつけ薬剤師・薬局に期待される役割(厚生労働省)
ところで話は変わりますが、介護保険法は社労士の守備範囲でもあります。
ということで、地域包括ケアシステムについては、社労士国家試験でも問われたことがあります。
どういった形で出題されたのか、過去問を少し覗いてみましょう👀
平成26年度第46回社会保険労務士国家試験より抜粋
社会保険に関する一般常識 [問5]の2
我が国の介護保険制度における介護サービスの利用者は、在宅サービスを中心に着実に増加し、平成22年には400万人を超えた。
【 B 】とは、重度な要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される中学校区などの日常生活圏域内において、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく、有機的かつ一体的に提供される体制のことをいう。
⇒B:地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムという用語がそのまま穴抜きで問われています。出題当時、ホットなトピックスであったことがうかがい知れます。
2025年も迫ってきましたので、地域包括ケアシステムについて国家試験で出題されることがあるかもしれませんね☝️
余談ですが、「就職氷河期」に関しても社労士国家試験で問われたことがあるので、合わせてご紹介しておきます。
令和3年度第53回社会保険労務士国家試験より抜粋
労務管理その他の労働に関する一般常識[問4]の1
労働施策総合推進法は、労働者の募集・採用の際に、原則として、年齢制 限を禁止しているが、例外事由の一つとして、就職氷河期世代 (【 A 】)の不安定就労者・無業者に限定した募集・採用を可能にしている。
⇨A:35歳以上55歳未満
少し、受験対策っぽくなってしまいましたが、ご容赦ください。
社労士の国家試験では法律以外にも国の施策などからも出題されるので、ついて行くのがなかなか大変です😅
さて、今回は地域包括ケアシステムについて簡単に触れさせていただきました。
直接お世話になる方は多くないとは思いますが、「2025年問題」は私たちの生活にも大きく影響を及ぼす可能性があります。
地域包括ケアシステムが上手く機能することで現役世代の負担もある程度緩和されると思いますので、陰ながら行末を見守っていきたいと思います。
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