社会保険労務士試験の思ひ出【その②】

 

その①】では、社会保険労務士試験の難易度などをご紹介させていただきました。

社会保険労務士試験の思ひ出【その①】 - 薬事とか労務とか、たまに■も。。。
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社労士試験の思ひ出シリーズ【その①】です。 試験の難易度などご紹介しています。
https://phsr-89266.hatenablog.com/entry/2023/07/09/145025

 

敵を知り己を知れば百戦危うからず
という言葉がありますが、敵(試験)を知ってもなかなか合格できないのが、難関資格にカテゴライズされる所以かと思います。
 
ですが、敵(試験)を知らねば戦いを挑むこともできません。
 
ということで、今回は試験制度を中心にお伝えしていきたいと思います。
 
これから受験する方、受験を検討しておられる方の参考になれば幸いです。
 

受験資格✏️

 
まずは、一番大事な受験資格です。
 
これを満たさなければ、受験すらできませんので、必ず最初に確認してください。
 
社労士法に受験資格の規定がありますが、簡単にまとめると次の通りです。
受験資格
 ①学歴  短大または高専卒以上
 ②業務経験
    1. 特定の業務に3年以上従事

 ③他の試験の合格者
  1. 司法試験予備試験行政書士試験の合格者
この①〜③のいずれかを満たすことで受験資格を得ることができますが、①の学歴で条件を満たされる方が多いかと思います。
 
中には③の"他の試験の合格者"という変わった受験資格もあります。
 
特定の資格に合格していれば受験資格を得られるということなのですが、注目したいのが"行政書士試験の合格者"です。
 
"行政書士試験"は、法律系の入門資格試験とされることもあり、受験資格は不問で学歴や年齢に関わらずどなたでも受験できます
合格率は10%前後ですが、合格することで社労士試験を受験できるようになります。
 
 
ということは、、、
 
学生でも受験できる‼️
 
ことになりますよね。
 
 
筆者も受験会場で明らかに学生と思われる方を見かけたことがありますが、おそらく行政書士試験に合格した上で、社労士試験に挑戦されたのだと思います。
 
自己研鑽かまたは就職を考えてのことなのか、いずれにせよその行動と考えにはただただ脱帽するばかりですね😉
 
 

出題範囲📖

 
次は出題範囲を見ていきたいと思いますが、社労士法に規定があります。
 
社会保険労務士法 第9条

社会保険労務士試験は、社会保険労務士となるのに必要な知識及び能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる科目について行う。

四 健康保険法
六 国民年金
七 労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識
 
これを少し整理しますと、

10科目となります。
※以下、特に断りがない限り、科目名についてはカッコ内の略称を使用します。
 
①〜⑧に関しては、社労士としてのメインどころの法律になります。
メインどころということで、教材の内容も充実していますし、比較的勉強はしやすい科目になります。
 
⑨〜⑩には"一般常識"の文字が見えますが、『な〜んだ一般常識か』と侮るなかれ。
労務社会保険に関するあらゆる内容が出題範囲という受験者泣かせの科目になっています。
 
 

鬼門(奇問)は"労一"か⁉️

 
試験範囲の次は、科目ごとの簡単な特徴と、4回の受験経験を基に難易度をご紹介していきたいと思います。
なお、難易度に関しては筆者の主観となりますので、あらかじめご了承ください🙇‍♂️
 
全般的な事柄として、法律の試験ということになりますが、条文を丸暗記していくようなものではなく、どういった場合(条件や数字)にどうなるのか(法的にOKか?/給付内容は?etc.)を法の規定を踏まえて暗記・理解していくような勉強になります。
※〇〇条にあの規定があるなんてことを覚えても試験では全く役に立ちません。
 
また、実務的な給与額、保険料や年金額などの計算問題はほとんど出題されません。
 

①労基(難易度:★★★★☆)

労務といえば外せない労働基準法に関する科目です。
労働時間・休憩・休日など、働くことに関する内容なので、自分事に置き換えて取り組むととっつき易い印象です。
有給休暇の付与日数や残業代の計算方法など理解しておくと、実生活でも有用です。
 
しっかり勉強すれば点は取れると思いますが、よく最高裁判例が穴抜きで出題されます。
労基法の考え方や解釈の仕方まで理解できていないと対応は難しいと思います。

②安衛(難易度:★★☆☆☆)

労働基準法と一体の関係にある労働安全衛生法の成り立ちそのままに、科目としては 労基とセットで出題されます。
職場の安全や衛生に関わる科目ですが、建設業など一部の職種に関わりが深い危険を伴う機械類、それらの免許に関する内容も出題されます。
"健康診断"に関する内容や、安全委員会・衛生委員会・産業医などもこの科目に含まれています。
 
細かい数字を覚えたりする必要もありますが、そもそも①労基が完璧であれば、解けなくとも問題ない科目だったりします。
ただ①労基はなかなか手強いので、ここで数点稼げれば楽になるので、勉強しておくのが吉◎です。

③労災(難易度:★★★☆☆)

業務上の災害や通勤災害への保険給付に関する科目です。
調剤薬局でも"労災"は取り扱いますが、制度まで詳しく理解する必要はありませんでした。
労災の保険制度をしっかり理解できれば、それほど難しくはないと思います。
どういった場合が労災として認定されるか等は勉強していてなかなか面白かったです。
 
「業務上の負傷・疾病=労災」、「業務外の負傷・疾病=健保」ということで、⑥健保と内容が似通っており混同しやすいです。
そのあたりをしっかり整理しておく必要があります。

④雇用(難易度:★★★☆☆)

雇用保険に関する科目です。
比較的勉強し易く、試験問題も素直な内容が多かった印象です。
 
色々な給付があるので、それぞれの条件を確認しておく必要があります。
教育訓練給付などは在職中でも使えるので、こういった制度を知ることができたのもよかったです。
教育訓練給付は、予備校や通信教育にも使える場合があります。

⑤徴収(難易度:★★☆☆☆)

労働保険(労災保険雇用保険)の保険関係の成立や保険料の徴収等に関する科目です。
独立した科目ではなく、③労災④雇用とセットでの出題となります。
 
実務的には重要な法律ですが、試験ではそこまで重要な科目ではありません。
ですが、②安衛と同じくスルーせずに勉強しておくのが吉◎です。

⑥健保(難易度:★★★☆☆)

健康保険の給付内容などに関する科目です。
薬剤師なら知っていて当然と思われるかもしれませんが、制度をしっかり学習することはなかったので、知っているようで知らない科目です。
 
給付内容が③労災と混同しやすいのと、⑩社一の範囲である国民健康保険船員保険などとも混同しやすいのでしっかり区別して理解しておく必要があります。
 
また保険料や給付額に関係する"標準報酬"という概念が出てきますが、これは⑦厚年にも出てきますので、こちらも混同しないように注意が必要です。
 

⑦厚年(難易度:★★★☆☆)

会社員などの被雇用者が加入する厚生年金に関する科目です。
いわゆる年金の2階建て部分がこの科目です。
 
老齢・障害・死亡に関して支給される年金など、⑧国年と似通った内容が多いですが、"標準報酬"といった⑦健保と共通の概念も出てきます。
加入条件や支給要件などしっかり整理して覚える必要があります。
 

⑧国年(難易度:★★★★☆)

原則20歳以上で全ての方が加入する国民年金に関する科目です。
いわゆる年金の1階建て部分です。
 
老齢・障害・死亡に関して支給される年金など、加入条件や支給要件などが出題されます。
年金額に反映される"マクロ経済スライド"という考え方もよく出題されます。
また、改正を重ねてきている分、例外規定も多く、その辺りの理解も深めておく必要があります。
 
一般的なテキスト等では、⑦厚年よりも先に学習することが多いですが、実際の試験での出題順は⑦厚年よりも後で、試験を順番に解いていくと一番最後に取り組むことになります。
頭が疲弊している状態で解答しなければならない上、⑦厚年と内容が似通っていることもあり、苦戦は必死です。
 

⑨労一(難易度:★★★★★)

多くの受験生が涙を飲んだ科目ではないでしょうか。
この科目が攻略できずに諦めたという方も多いと思います。
労働関連の各種法律と、労務管理に関する"一般常識"が問われる科目です。
 
各種法律ということで、労働契約法労働組合など色々な法律からも出題されるのですが、何よりもこの"一般常識"が曲者で、統計調査の数字や厚生労働白書、国の各種施策など、はっきりいってなんでもありです😅
 
傾向も読めないので、これだという試験対策ができない、でもやらずにはいられない、そんな科目が⑨労一です。
 

⑩社一(難易度:★★★★☆)

社会保険関連の各種法律とそれらに関する"一般常識"が問われる科目です。
介護保険法・高齢者医療確保法や国民健康保険法・船員保険法など、医療・介護に関する法律も試験範囲に含まれています。
社労士の根拠法である社会保険労務士法の他、年金の3階建て部分の"確定拠出年金法"もこの科目です。
 
⑩社一も同じように対策が難しい科目ですが、まだ⑨労一に比べると法律関係がよく出題されるのでまだ対応はしやすい印象です。
 
 

次回に続く

 
今回は、受験資格、試験範囲・科目についてご紹介していきました。
 
科目ごとの難易度ですが、やはり⑨労一が一番難しいのかなと思います。
過去には正答率が低すぎて、1問正解すればOKなんてこともありました。
 
他の科目の理解度を一定水準に保った上で、色々情報収集もしなければならないのが辛かった記憶があります。
毎年「どこそこの予備校の模試で出てた」なんて話も耳にしますが、全ての予備校の模試に目を通す時間はないので、自分なりに対策するしかないと思います。
 
筆者である私は、案外⑨労一⑩社一は点が取れていたりします。

また別の機会に、どうやって勉強したのか、どうやって解いたのかなど、当時を振り返りながらご紹介できればと思っています。
 
 
さて、社労士の試験制度については、まだまだご紹介したい内容があります。
 
社労士試験恒例?の救済制度や配点など、続きは次回とさせていただきたいと思います。
 
 
それでは、かなり長文になってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございます。
 
受験生の方は、そろそろ追い込みですね。
体調に気を付けて頑張ってください。
 
また次回も宜しくお願いいたします。

 

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