日医工・上場廃止

 

国内最大規模のジェネリック医薬品メーカーであった「日医工(4541)」が本日3月29日で東証プライム市場(旧:東証1部)から上場廃止となりました。
 
上場廃止のお知らせ(2023年3月28日)
 
国のジェネリック医薬品促進施策を受け大きく成長し、過去には最高で1株あたり4,700円超をつけたこともある同社ですが、最終日は1株あたり35円で取引を終えることになりました。
 
なお、個人株主等の保有株は、1株36円で引き取られるようです。
昨今の医療用医薬品供給不足の発端は、同社と
4月1日付けで医薬品製造販売業を廃業となる「小林化工」の不正です。
 
「小林化工」問題では死者も出し社会問題となりましたが、この2社の不正を引き金に、各メーカーに抜き打ち調査が入り、次々と不正・不適切事例が摘発され、出荷停止や販売中止が相次ぐ事態となりました。
 
もちろんしっかり責務を果たしているメーカーさんがほとんどだと思いますが、ジェネリック医薬品が安いのにはウラがあったということでしょう。
 
以前、医療用医薬品とOTCの価格比較をさせていただきましたが、「医療用医薬品が安すぎる→そこまで手をかけられない」という実状を暗に示しているとも思います。
「温感」って温まるの?【その③】 - 薬事とか労務とか、たまに■も。。。
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医療用医薬品の温感湿布とOTCの温感湿布の入手にかかる費用などを検討しています。
https://phsr-89266.hatenablog.com/entry/2023/02/11/153559

 

さて、今回の話題の「日医工」ですが、医薬品卸大手のメディセオ(7459・メディパルHDとして上場)などが出資するJSDの完全子会社となり今後は再建を目指していくそうですが、再建のために不採算品目の整理を順次進めているようです。
 
3月初頭にも221品目もの不採算品目の販売中止を通知していた同社ですが、販売中止による経過措置品目数をメーカーサイトで確認したところ、その数は787品目成分数にして約300にも及びます。
※2023年3月29日確認
※経過措置期間満了=保険請求できない→その医薬品を使えないということです。
 
OEMで他メーカーの製造も請け負っていたので、自社製品以外にも多数の製品に影響が出ることが分かります。
 
<経過措置品目・メーカーごと>
 エルメッド:82品目
 コーアイセイ:1品目
 小林化工:5品目
 サノフィ:1品目
 サンノーバ:9品目
 三和化学:2品目
 シオノケミカル:2品目
 大興:3品目
 武田テバファーマ:242品目
 武田テバ薬品:107品目
 辰巳化学:2品目
 東亜薬品:1品目
 日医工:276品目
 日医工ファーマ:38品目
 日医工岐阜:7品目
 ニプロファーマ:3品目
 メディサ:1品目
 ヤクハン:5品目

<経過措置期間満了(目安・予定を含む)>
 2022年3月31日:67品目
 2022年9月30日:41品目
 2023年3月31日:234品目
 2023年9月30日:98品目
 2024年3月31日:445品目
 
まだまだ品目が増えることも懸念されますが、医療現場で働いておられる方は医薬品が手に入らないことで本当に大変な思いをされていると思います。
 
安すぎる薬価では品質を維持することが難しいことが明るみになった側面もあり、私個人的としては、こうなってよかったと思う部分もあります。
 
インフレや賃上げで、原材料費・人件費などは増える一方ですが、治療のベースラインとなる医薬品💊が適正な価格・品質で供給さらることを切に願うばかりです。

 

 

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