”医療用医薬品”が買える??

”病院でもらう薬を買えます”
こんな広告を見かけたことはありませんか??
 
医薬品の分類については、以前の記事でご紹介していました。
”医薬品”の分類 - 薬事とか労務とか、たまに■も。。。
thumbnail
医薬品の分類についてまとめた記事です。
https://phsr-89266.hatenablog.com/entry/2023/04/29/224619
 
病院・薬局でもらう薬=医療用医薬品
ということになりますが、これを買うことができるとはどういうことなのでしょうか。
 

"医薬品"はどこで入手できるか

 
まず”医薬品“をどこで入手できるかを考えてみたいと思います。
 
マツモト何某、〇〇ドラッグなど店名は色々ありますが、いわゆるドラッグストア(薬店)と呼ばれる業態がまず挙げられます。
中には調剤薬局を併設しているドラッグストアもありますが、ドラッグストアという業態で取り扱うことができるのは、"一般用医薬品"のみです。
 
次に調剤薬局ですが、こちらは"一般用医薬品"と"医療用医薬品"の両方を取り扱うことができます。
ただし"医療用医薬品"に関しては、原則として医師の処方箋に基づき調剤することができるとされています。
"原則"ということは例外があるということですが、それはまた後述します。
 
最後は、病院・診療所(歯科医院なども)です。
こちらは医師の診察に基づき"医療用医薬品"を処方することができる業態になります。
診療行為の一環として"医療用医薬品"を渡す(処方する)ことはできますが、販売することはできません
もし、"医薬品を販売します"などと広告しているクリニックがあれば、違法性が高い可能性がありますので、利用はされない方が賢明かと思います。
 
 ドラッグストアまたは調剤薬局
 
▶︎医療用医薬品
 調剤薬局または病院・診療所
 ⇨"医療機関"で入手できるということになります。
 
 

"医療用医薬品"は購入できる?

 
医療用医薬品“は、医療機関で入手できる(処方・調剤してもらえる)というのが、先ほどまでのお話でした。
 
これを購入するというのは、、、なんだかきな臭くなってきました。。。
 
 
でも、安心してください。違法じゃありませんよ。(とにかく明るい安村風)
※2023年7月時点
 

 
実は、医療用医薬品の中で処方箋医薬品以外の医療用医薬品については、その名のとおり処方箋がなくとも販売できる場合があるとされています。
 
この処方箋医薬品以外の医療用医薬品を販売する行為を"零売(れいばい)"と呼びます。
 
"零売"については、最近何かと取り沙汰される機会が増えてきましたので、耳にされたことがあるかもしれません。
 
なお、"零売"行為ができるのは、医療用医薬品の譲渡譲受ができる業態である調剤薬局のみとなります。
 
 

"零売"できる場合とは?

 
処方箋なしで一部の医療用医薬品を販売できるとなれば、
調剤薬局にとっても商機となりますし、
購入する側にとっても病院を受診するほどでもない症状をセルフケアできるメリットもありますが、
実施している店舗がそれほど多くはありませんよね。
 
メリットがあるのに少ないのは、あくまでもイレギュラー対応だからです。
 
関連"通知"には、次の通り記述があります。
 
▶︎薬局医薬品の取扱いについて(平成26年3月18日付け薬食発0318第4号通知)

第1の2.処方箋医薬品以外の医療用医薬品について

薬局医薬品のうち、処方箋医薬品以外の医療用医薬品薬局製造販売医薬品以外の薬局医薬品をいう。以下同じ。)についても、処方箋医薬品と同様に、医療用医薬品として医師、薬剤師等によって使用されることを目的として供給されるものである。

このため、処方箋医薬品以外の医療用医薬品についても、効能・効果、用法・用量、使用上の注意等が医師、薬剤師などの専門家が判断・理解できる記載となっているなど医療において用いられることを前提としており、1.(2)に掲げる場合(※災害時など受診できない場合など)を除き、薬局においては、処方箋に基づく薬剤の交付が原則である。 

なお、1.(2)に掲げる場合以外の場合であって、一般用医薬品の販売による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などにおいては、必要な受診勧奨を行った上で、第3の事項(※販売時の留意事項)を遵守するほか、販売された処方箋医薬品以外の医療用医薬品と医療機関において処方された薬剤等との相互作用・重複投薬を防止するため、患者の薬歴管理を実施するよう努めなければならない。

医療用医薬品はあくまでも医療用で、やむを得ない場合に処方箋医薬品以外の医療用医薬品を最低限の数量を販売できるのが"零売"いうことになります。
 
やむを得ない場合のみということで、積極的に販売できない(広告もできない)ことはご理解いただけると思います。
 
ところが、近年"零売"を積極的に行う薬局が増えおり、問題視されるようになってきました。
 
 

今後はどうなる?

 
"零売"行為自体は違法ではないことは国も認めるところですが、不適切な販売例が増えてきたことから、昨年再周知ということで、新たな通知も発出されています。
 
▶︎処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売方法等の再周知について(令和4年8月5日付け薬生発0805第23号通知)
 
 
また、現状"零売"に関する基準が強制力がない通知での周知のみであることから、規制強化についても議論されているところです。
 
【参考】日本の法体系
 

※法・令・規則に強制力があります。強制力を持たせるために罰則が設けられていることもあります。
 
▶︎処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売について(令和5年2月22日 第1回 医薬品の販売制度に関する検討)
 
 
私個人的には、"零売"は薬剤師の職能の一つとして存続して欲しいと思いますし、セルメディケーションの一つの形としても有用であるとも思っています。
 
国の議論がどのような形で着地するのか、今後も議論の行方から目が離せないですね。
 
今回は"零売"についてのお話でした。
なかなか"零売"薬局は見かけないと思いますが、皆さんは利用されたことはありますか?
 
実は最近、"零売"薬局を利用する機会がありました。
また、別の機会にレポートを上げたいと思いますので、宜しくお願い致します。

 

 

☆ランキング参加しています☆

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ


にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村