"調剤薬局"は医療機関??

休憩時間に関するTOPICSの中で、一斉休憩の適用外になる「業種」について少し触れさせていただきました。

休憩してますか?? - 薬事とか労務とか、たまに■も。。。
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労基法上の「休憩時間」の取り扱いについてまとめています。
https://phsr-89266.hatenablog.com/entry/2023/06/15/000132

今回は、そんな「業種」に関するお話です。

 

業種について

 
まずおさらいとなりますが、一斉休憩が適用されない「業種」は次のとおりです。

労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第31条

法別表第一第四号、第八号、第九号、第十号、第十一号、第十三号及び第十四号に掲げる事業並びに官公署の事業(同表に掲げる事業を除く。)については、法第34条第2項の規定(一斉休憩に関する規定のことです。)は、適用しない。
これらの「業種」を見てなんとなく一斉に休憩を取りづらそうなイメージをお持ちいただけると思います。
例えば、昼休憩時にコンビニへ買い物に行くとコンビニのスタッフ全員が休憩中で店が閉まっていた~、なんてことはありませんよね?
業種ごとの特性に応じてこういった配慮がなされているというわけです。
 
さて、この「業種」は全部で15種あり、労働基準法別表第1に掲げられていますが、総務省管轄の日本標準産業分類に準じて定められています。
 
日本標準産業分類は様々な統計調査にも用いられており、統計調査に基づいて国の各種施策に落とし込まれていくという形です。
 
▶︎日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)
 
 

調剤薬局の業種は??

 
ところで"調剤薬局医療機関か?"と聞かれてどう思われますか。
 
多くの方が違うと回答されるんじゃないかと思います。
薬剤師の方に怒られてしまうかもしれませんが、私も医療機関?なんか違うよな??と感じてしまいます😅
 
先ほどの日本標準産業分類では、次のとおりとされています。

厚生労働省資料より引用
 
病院・診療所(歯科医院も)などは「医療,福祉」に分類されていますが、調剤薬局は残念ながら「医療,福祉」ではなく医薬品の販売・譲渡場所という点がフィーチャーされ「卸売業,小売業」に分類されています。
労働基準法別表第1の業種では「商業(第8号)」に該当します。
 
これを見る限りでは、調剤薬局医療機関ではなさそうですが。。。
 

医療法での扱い

 
一方、日本の医療の提供体制を定める法律である医療法には、次の規定があります。

医療法(昭和23年法律第205号)第1条の2

第1項 医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。

第2項 医療は、国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎として、医療を受ける者の意向を十分に尊重し、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設(以下「医療提供施設」という。)、医療を受ける者の居宅等(居宅その他厚生労働省令で定める場所をいう。以下同じ。)において、医療提供施設の機能に応じ効率的に、かつ、福祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提供されなければならない。

医療法の中では、「薬剤師=医療人、調剤薬局医療機関」としっかり定められている❗️ことが確認できます。
 
元々は、薬剤師・調剤薬局は含まれていなかったのですが、改正を経て現在の形となりました。
 
改正の変遷
【第2次改正】1993年(平成5年)施行

⇨「医師、歯科医師薬剤師、看護師その他の医療の担い手」と、薬剤師も医療の担い手と明記された。

【第5次改正】2007年(平成19年)施行
⇨「病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設」と、調剤薬局も医療を提供する施設と明記された。
 
調剤薬局医療機関と聞くと敷居が高いように感じてしまいますが、そうではありません。
 
在宅医療の取り組みや健康・介護相談など、いわゆる2025年問題への対応施策のひとつである地域包括ケアシステムの一翼を担う施設として、誰でも気軽に相談ができる場所であることが期待されています。
 
調剤だけが仕事ではないということですね。
 
▶︎健康サポート薬局とは?(日本薬剤師会
 
 

最後に

 
今回は、業種から調剤薬局の立ち位置まで見ていきました。
 
日本標準産業分類総務省) は平成25年版が最新ですが、この改定に際して調剤薬局医療機関に含めるか議論に上がってたそうですか、従前のとおりとされた経緯があります。
 
統計調査にも関わるものなので、おいそれと変更できなかったのではないかと推察します。
 
そんな日本標準産業分類ですが、10年ぶりに改正(令和6年4月施行)されました。
いくつかの新業種の追加が検討されているそうですが、残念ながら調剤薬局はそのまま変わりないようです😅
 
▶︎日本標準産業分類の第14回改定(令和5年6月29日)
 
私は企業勤務ということもあり、専門家ではありたいと思っていますが、医療人か?と聞かれても正直なところピンとはきません。
 
ただ医療機関である調剤薬局で勤務される薬剤師の方々は医療人であり、薬の調剤以外にも様々な役割を求められるようになったのが現状かと思います。
 
いつか調剤薬局の役割が広く認知され、日本標準産業分類でも医療機関に分類されることを、切に願うばかりです。
 
皆様も是非、調剤以外でも調剤薬局を活用してみてくださいね。

 

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