求人サイトと給与が違う??
『マダムブリュレ(私も好きです)』で有名な人気洋菓子店「マダムシンコ」で求人サイト掲載の給与と実際に支払われた給与が異なるといったニュースを見かけました。
求人サイトより月給10万円減 洋菓子のマダムシンコに支払い命令(毎日新聞/2022年11月28日)
https://mainichi.jp/articles/20221128/k00/00m/040/179000c
ニュースの内容を確認すると、
求人サイト(インディード)上では、「月給35万~50万円(残業代を含む)」「週休2日制」と掲載されていたそうですが、
試用期間3ヶ月間は月給25万円で、期間終了以降は約17万円に減ったということです。
求人票にはかなり盛った月給を掲載していたのでしょうか?
『月給35万円(残業代を含む)』でどれぐらいの残業が想定されるのか??
2022年11月に以下の条件で勤務したと仮定して、月給25万円/17万円の場合で算出してみたいと思います。
<2022年11月・勤務条件>
- 月給:25万円/17万円(残業0h/交通費含まず)
- 給与は末締め
- 週休2日(週休2日の週が1週でもあればよい)
- 1ヶ月単位の変形労働時間制(11月は「30日」あるので、法定労働時間:40h×30日/7日=171.4h)
- 労働日数:21日
- 勤務時間:9:00〜18:00(休憩1h/実労働時間:8h)
⇒ 11月の所定労働時間:8h×21日=168h(<171.4h)
<月給25万円の場合>
時間給は、25万円÷168h=1,488円(1円未満を四捨五入)
⇒ 時間外の割増賃金は、1,488円×1.25=1,860円
⇒ 想定される時間外労働時間は、(35万円-25万円)÷1,860円=53.8h
<月給17万円の場合>
時間給は、17万円÷168h=1,012円(1円未満を四捨五入)
⇒ 時間外の割増賃金は、1,012円×1.25=1,265円
⇒ 想定される時間外労働時間は、(35万円-17万円)÷1,265円=79.1h
なかなか驚きの結果となりました(´Д`)
上記の条件では、月給25万円の場合でも『53.8時間』の残業!!が見込まれるようです。
働き方改革により時間外の労働時間には厳しい制限が設けられていますが、原則の限度時間は1ヶ月につき45時間までですので、これを超過する残業が初めから盛り込まれているということになりますね。
月給17万円の場合、この条件で勤務すると大阪府の最低賃金(2022年10月1日より1,023円/h*1)を下回ってしまうので、そこも問題になってしまいそうです。。。
今回のケースでは差額分については未払い賃金として認められ、支払い命令が下ったそうですが、働き始めて聞いていたのと何か条件が違うなんてこと、経験ありませんか?
法律では使用者(雇い主)に労働条件の明示について規制がなされており罰則等も設けられていますが、あらかじめ明示された労働条件と実際の労働条件が異なる場合、労働契約を即時解約することも労働者の権利として認められています。
新しい職場で働き始めたばかりだとなかなか確認しづらいといったこともあるかもしれませんが、労働条件はしっかりと確認して労使ともに気持ちよく働きたいものですね。
<労働条件の明示にかかる主な法律>
- 労働基準法第15条第1項『労働条件の明示義務』
- 労働基準法第15条第2項『労働契約の即時解除』
- 職業安定法第5条の3『労働条件等の明示』
- 職業安定法第65条『虚偽条件での求人申込み(罰則・罰金の規定あり)』
それにしても、こんな求人を出さざるを得ないとは、洋菓子業界も厳しいのだろうと思います。
商品を購入するくらいしか応援できませんが、
『マダムブリュレ』、まだ召し上がったことがない方、是非一度お試しくださいね(^_−)−☆
ふるさと納税にも対応しているみたいです👍
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*1:なお、2022年10月前は992円/hでしたので、それ以前の労働条件であれば問題ありません。