前回は、承認に関して、
緊急承認の方が早く承認されるイメージですが、
特例承認よりもかなり遅かったよ~という内容でした。
ラゲブリオ、パキロビッドパック:薬機法第14条の3に基づく特例承認
⇒申請から承認まで約1ヶ月程度
ゾコーバ:薬機法第14条の2の2に基づく緊急承認
⇒申請から承認まで約9ヶ月程度(条件付き早期承認制度を利用)
今回は、それぞれの薬効分類についてです。
添付文書の商品名の真上にある記載ですね。
ラゲブリオ、パキロビッドパック:抗ウイルス剤
医療用医薬品の薬効分類は、日本標準商品分類番号に従って定められています。
3剤とも「日本標準商品分類番号:87625」ですから、抗ウイルス剤に分類されるわけです。
添付文書のこの部分には、薬効分類を記載することになっていますが、
添付文書上に記載する薬効分類にはある程度の裁量が認められています。
以下、通知よりの引用です。
オ. 薬効分類名
当該医薬品の薬効又は性質を正しく表すことのできる分類名を記載すること。
使用者に誤解を招くおそれのある表現は避けること。
医療用医薬品の添付文書等の記載要領の留意事項について
(平成29年6月8日 薬生安発0608第1号)より引用*1
塩野義さんの考えもあると思いますが、
「新型コロナウイルス感染症治療薬」ということをしっかり明示した格好です。
おまけ
国産ということで期待を集めていたゾコーバですが、市場の評価はどうだったのでしょうか?
承認までの動向を塩野義さんの株価チャートとともに見ていきたいと思います。
<国内での主な動き>
※塩野義製薬のIRニュースを元に編集
2021年7月26日:第1相臨床試験開始
2021年9月28日:第2/3相臨床試験開始
2022年2月25日:「条件付き早期承認制度」を利用し、承認申請
2022年5月27日:法改正による新設の「緊急承認制度」の適用希望
2022年7月20日:有効性推定の条件を満たせず、継続審議
2022年9月28日:第3相臨床試験の結果を公表
2022年11月22日:有効性が推定されるとし、緊急承認
<塩野義製薬(4507)の株価チャート(月足)>
申請時には期待が高く株価にも反映されていましたが、
承認取得後は期待外れといった市場イメージでしょうか。
(もちろんそれだけで株価が変動するわけではありませんが。。。)
海外展開も控えていますが、今回は緊急時対応の緊急承認ということで1年以内に臨床データをそろえて正式な承認を受ける必要があります。
ワクチンもこれからですし、しっかり実臨床現場で活躍して、実力を発揮してほしいですね。
*1:最新の通知:医療用医薬品の電子化された添付文書の記載要領について(薬生発0 6 1 1第1号 令和3年6月11日)