社労士試験の思ひ出【その③】

 

前回から少し間が空きましたが【その③】です。

 
こちらの記事でも少し触れていましたが、今回は合格基準についてです。
自己採点の進め方 - 薬事とか労務とか、たまに■も。。。
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社労士試験の自己採点の進め方に関する記事です。
https://phsr-89266.hatenablog.com/entry/2023/08/29/182439

 

この合格基準もなかなか厄介で、毎年多くの受験生を悩ませています(^_^;)
 

試験形態と配点

 
まず、試験形態と配点について確認していきたいと思います。
 
社労士試験は大きく
 
午前中に実施される「選択式試験」
午後から実施される「択一式試験」の
 
2つの試験形態に分かれています。
 
それぞれの特徴と配点は次のとおりです。

▶︎選択式試験

いわゆる穴埋め問題です。
文章中の空欄に適切な用語を選択肢から選ぶ形式となります。
 
労基・安衛、労災、雇用、労一、社一、健保、国年、厚年の計8科目各5問、配点は1問1点で合計40点(40問)となります。
試験時間は、10:30~11:50(80分)です。
 
穴埋め問題ということで、簡単なイメージを持たれるかもしれませんが、難しいです(^_^;)
 
例えば、期間を問う問題で、次のような問題が出題されたことがあります。
  1. 第50回社労士試験
  2. 選択式試験 健康保険より抜粋
     
    被保険者が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日) 【 D 】(多胎妊娠の場合においては、98 日)から出産の日【 E 】までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金を支給する。
     
    選択肢(一部抜粋)
    ①以後42日、②以後56日、③以前42日、④以前56日、⑨後42日、⑩後56日、⑰前42日、⑱前56日
 
正解は、Dが「③以前42日」、Eが「⑩後56日」ですが、正確に記憶しておかなければ、正答できません。
 
また、問題数が少ないにもかかわらず、重箱の隅をつつくような問題もチラホラ出題されます。
 
膨大な試験範囲から何が出るのか、運の要素が絡みやすい試験となっています。
 

▶︎択一式試験

オーソドックスな、設問に対する適切な選択肢を選択する問題です。
「正しい/誤っているものを選択」、「正しい/誤っているものの組み合わせを選択」、「正しい/誤っているものの数を選択」する問題が出題されます。
 
労基・安衛、労災、雇用、一般(労一+社一)、健保、国年、厚年の 7科目各10問、配点は1問1点で合計70点(70問)となります。
試験時間は、13:20~16:50(210分)です。
 
労一+社一が「一般」として一括りにされており、選択式試験よりも1科目少なくなっています。
 
「正しい/誤っているものの数を選択」する問題がやはり難しく、正確に記憶しておかなければ正答できません。
 
ただ、択一式試験は、選択式試験に比べ問題数も多く、理解度がストレートに反映されます。
 
「択一式試験の出来が悪い = 勉強不足」、と捉えて差し支えありません。
 

【選択式試験】

・計8科目(労基・安衛、労災、雇用、労一、社一、健保、国年、厚年)

・1科目5問、計40問

・各1点、計40点

・試験時間:80分

・問題数が少なく、運の要素が絡みやすい。

 

【択一式試験】

計7科目(労基・安衛、労災、雇用、一般(労一+社一)、健保、国年、厚年)

・1科目10問、計70問

・各1点、計70点

・試験時間:210分

・問題数が多く、実力が反映されやすい。

 
 

原則の合格基準

 
次に、原則の合格基準です。
※選択式試験と択一式試験の合計点については、特に基準は設けられていません。

【選択式試験】

総得点40点中28点以上

各科目5点中3点以上

 

【択一式試験】

総得点70点中49点以上

各科目10点中4点以上

▶︎社会保険労務士試験の合格基準の考え方について(厚生労働省
 
自己採点においては、この原則の合格基準を満たしていれば、まず合格と思って差し支えないと思います。
 
択一式試験は、10点中4点取得ですが、選択式試験は、5点中3点取得で、1点の重みが非常に大きいものなっています。
 
選択式試験の出来・不出来が合否の明暗を分けるといっても過言ではありません。
 
 

救済措置

 
先程は、原則の合格基準を確認しましたが、実際の合格基準は、試験の難易度、正確には、「総得点及び各科目の平均点及び得点分布等の試験結果を総合的に勘案して補正する」とされています。
 
身も蓋もない言い方をすれば、試験実施者側が意図した合格率・合格人数になるように、合格基準が上げ下げされるということですが、今のところ上げられたことはなく下げられたことしかありません
 
この合格基準が下げられることを俗に「救済措置が入る」と言います。
 
社労士試験受験界隈では、毎年どの科目に救済措置が入るのか、この話題で持ちきりとなります。
 
過去5年間分の合格基準をまとめた表がこちらです。
※原則の合格基準から何点下げられたのかを示しています。


こうしてみると、上げられた年はないことが確認できますね。
また、科目毎のボーダーラインについて、択一式試験では救済措置が入ることはほぼないため、選択式試験でどの科目に何点救済措置が入るのか?これが合否を大きく分けるポイントになっています。
 
実力で原則の合格基準クリアできていれば全く問題ありませんが、合格ラインギリギリの方にとっては正に死活問題です。
 
どの科目に救済措置が入るのか、その決定方法が不明瞭であったため、過去には訴訟まで起こっています。
 
▶︎第47回(平成27年度)社会保険労務士試験合格基準取消請求事件
※結果として、合格基準の決定は「処分行政庁の広範で専門的かつ技術的な裁量に委ねられているものと解される」とされました。
 
この事件を受けて、合格基準の考え方が明示されるようになりましたが、筆者が合格した第53回では、選択式試験の労一の基準点が1点国年の基準点が2点と不可解な救済措置が入りました。
おそらくルール通りであれば、合格率が相当に低くなってしまうため、それを避けるためだと思われますが、5問中1問正答でボーダーラインクリアとは余りにも酷い…
 
合格するために勉強を続けてきましたが、盛大な肩透かしを喰らった思いがしました。
ラッキーで合格できた方も少なからずいらっしゃったと思います。
 
社労士試験とはこういう試験です。
 

【選択式試験】

・かなりの頻度で科目ごとのボーダーラインの引き下げが行われる。

→自己採点で2点の科目があったとしても合格している可能性がある。

・総得点については、6割5分〜7割が目安。6割を下回っていると厳しい。

 

【択一式試験】

・科目ごとのボーダーラインが引き下げられることはほとんどない。

→自己採点で3点の科目があれば、合格の望みは薄い。

・総得点については、6割5分ほどが目安。6割を下回っていると厳しい。

 
 

合格基準に思う

 
少し愚痴っぽくなってしまいましたが、今回は社労士試験の合格基準に関する内容でした。
 
安定しない試験問題の難易度によって毎年変動する合格基準が社労士試験の最大の壁です。
 
しっかり勉強すれば、確かに合格ラインに届きはするものの、合否に"運"が絡んでくることも事実としてあると思います。
 
社労士試験は"運ゲー"と揶揄されることもあるのですが、言い得て妙ですね😅
 
さて、そんな社労士試験ですが、第54回は、全科目救済なし‼️とようやくまともな試験に近づいてきたのか❓と思える内容でした。
 
第55回がどうなるかまだ分かりませんが、相応の苦労や努力を重ねた方がしっかり報われる結果であることを強く望みます。
 

 

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