11月22日の公開審議を経て、
全会一致とはなりませんでしたが、
ついに国産の新型コロナウイルス感染症治療薬『ゾコーバ』が緊急承認されました。
経口剤としては、国内3剤目となります。
今回の緊急承認については、
色々と物議を醸し出したようですが、
初の国産ということで私は素直に称賛したいと思います。
3剤の特徴比較などは、他サイトさんで詳しく紹介されていると思いますので、
割愛させていただきますが・・・
厚生労働省発出の各薬剤のPress Releaseと添付文書の内容を並べてみました。
<各薬剤のPress Releaseからの引用>
ラゲブリオカプセル 200mg
一般名:モルヌピラビル
申請者:MSD株式会社
申請日:令和3年 12 月3日
⇒令和3年12月24日・医薬品医療機器等法第14条の3に基づく特例承認
※申請から承認まで約3週間
パキロビッドパック
一般名:ニルマトレルビル、リトナビル
申請者:ファイザー株式会社
申請日:令和4年 1 月14日
⇒令和4年2月10日・医薬品医療機器等法第14条の3に基づく特例承認
※申請から承認まで約1ヶ月
ゾコーバ錠 125mg New
一般名:エンシトレルビル フマル酸
申請者:塩野義製薬株式会社
申請日:令和4年2月 25 日
⇒令和4年11月22日・医薬品医療機器等法第14条の2の2に基づく緊急承認
※申請から承認まで約9か月(条件付き早期承認制度を活用)
ちょっと見比べてみると、「ゾコーバ」だけ何か違いますね??
先の2剤は、特例承認の抗ウイルス剤、
となっています。
特例承認?・緊急承認??
ちょっと気になりますよね。
簡単に解説していきたいと思います。
<特例承認・緊急承認>
それぞれ『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称、薬機法)』に規定があります。
以下に原文をお示します。
(特例承認)
第十四条の三 第十四条の承認の申請者が製造販売をしようとする物が、次の各号のいずれにも該当する医薬品として政令で定めるものである場合には、厚生労働大臣は、同条第二項、第六項、第七項及び第十一項の規定にかかわらず、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その品目に係る同条の承認を与えることができる。
一 国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品であり、かつ、当該医薬品の使用以外に適当な方法がないこと。
二 その用途に関し、外国(医薬品の品質、有効性及び安全性を確保する上で我が国と同等の水準にあると認められる医薬品の製造販売の承認の制度又はこれに相当する制度を有している国として政令で定めるものに限る。)において、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列することが認められている医薬品であること。
(緊急承認)
第十四条の二の二 第十四条の承認の申請者が製造販売をしようとする物が、次の各号のいずれにも該当する医薬品として政令で定めるものである場合には、厚生労働大臣は、同条第二項(第三号ハに係る部分を除く。)、第六項、第七項及び第十一項の規定にかかわらず、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その適正な使用の確保のために必要な条件及び二年を超えない範囲内の期限を付してその品目に係る同条の承認を与えることができる。
一 国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品であり、かつ、当該医薬品の使用以外に適当な方法がないこと。
二 申請に係る効能又は効果を有すると推定されるものであること。
三 申請に係る効能又は効果に比して著しく有害な作用を有することにより医薬品として使用価値がないと推定されるものでないこと。
なんだかよくわからないですね(´Д`)
まず法令(法律+命令)の条文の見方ですが、
まず『条』があり、その次に『項』、『号』が続く形となっています。
号をさらに細分化する場合イ、ロ、ハなどと続きます。
※第一項目には数字は振られません。
※条の次に号が来る場合があります。
条文の構成例
第一条・・・・・・第1条
第一条の二・・・・第1条の2第1項
2・・・・・・・・第1条の2第2項
第一条の三・・・・第1条の3第1項
2・・・・・・・・第1条の3第2項
3・・・・・・・・第1条の3第3項
一・・・・・・・第1条の3第3項第1号
二・・・・・・・第1条の3第3項第2号
イ・・・・・・第1条の3第3項第2号イ
ロ・・・・・・第1条の3第3項第2号ロ
三・・・・・・・第1条の3第3項第3号
4・・・・・・・・第1条の3第4項
第一条の三の二・・第1条の3の2第1項
2・・・・・・・・第1条の3の2第2項
第二条・・・・・・第2条
一・・・・・・・第2条第1号
二・・・・・・・第2条第2号
緊急承認と特例承認とも、根拠条文の第1号目の内容は同じですが、第2号目以降の内容が違っていますね。
ラゲブリオ、パキロビッドパックは、海外で先行して医薬品としての承認実績・使用実績があったため、今回の緊急事態に際し申請から約1カ月程度で特例承認を受けることができました。
一方でゾコーバは、日本発の医薬品であり、海外での承認実績・使用実績はなかったため、国内で臨床試験を行い効能又は効果を有すると推定され、申請から約9か月で緊急承認となりました。
海外と医薬品の審査方式が異なるとはいえ、先行する2剤より1年近く遅れての承認です。
遅咲きの花となるか、今後のゾコーバの動向に期待です。
少し長くなってしまったので、【その②】に続きます。
♪次回も宜しくお願いします♪